登山にスマートフォンを持っていく。
これは、もう当たり前になっているのではないでしょうか。
地図を見る。
天気を確認する。
写真を撮る。
時間を見る。
連絡を取る。
登山口までの道を調べる。
山に着いてからも、スマートフォンを使う場面は意外と多いものです。
私も山へ行くときにはスマートフォンを持っていきます。
というより、持っていかないという選択肢は、今ではなかなか考えにくい。
ところが、山へ持っていくとなると、ひとつ気になることがあります。
充電です。
街中なら、バッテリーが少なくなっても、それほど慌てません。
コンビニに行けば充電器がある。
カフェに入ればコンセントがある。
家に帰れば充電できる。
場合によってはモバイルバッテリーを忘れても、どうにかなります。
でも山では違います。
バッテリーがなくなっても、コンセントはありません。
当たり前です。
でも、この当たり前が登山ではかなり重要です。
山では「あと20%」が怖い
スマートフォンのバッテリーが20%。
街なら、
「まあ、まだ大丈夫かな」
と思います。
10%でも、
「家までなら何とかなる」
となるかもしれません。
ところが山で20%と表示されると、
「これ、帰りまで持つかな」
と急に心配になります。
特に写真をたくさん撮っていると、減り方が早い。
GPSを使っている。
地図を表示している。
画面を何度も点ける。
寒い。
こういった条件が重なると、バッテリーの減り方は気になります。
そして、スマートフォンの残量表示を何度も確認する。
15%。
まだ大丈夫。
12%。
ちょっと心配。
10%。
……。
このあたりから、スマートフォンを見る回数が増えてしまいます。
いや、見るほど減るんですよね。
分かっているのに見てしまう。
そしてさらに減る。
これはなかなかの心理戦です。
登山でスマホを使う理由
そもそも、登山でスマートフォンを何に使うのでしょう。
考えてみると、かなりあります。
まず写真。
これは大きいです。
山へ行って、景色を見て、
「これは撮っておきたい」
となる。
一枚。
もう一枚。
少し移動して、もう一枚。
気が付くとかなり撮っています。
私も山へ行くと、写真を撮ることが楽しくなってしまいます。
そして次に地図。
現在地を確認したい。
この先の道を確認したい。
分岐を確認したい。
登山アプリなどを使っている人も多いでしょう。
さらに天気。
山では天候の変化が気になります。
登る前だけではなく、途中でも確認したくなります。
そして連絡。
何かあったときに連絡できる。
これはスマートフォンを持っていく大きな理由のひとつです。
つまり、スマートフォンは登山にとって、単なる「電話」ではありません。
カメラであり、地図であり、時計であり、情報端末でもある。
かなり働いています。
だからこそ、充電が大切になる
これだけ使うのなら、当然バッテリーも減ります。
そして問題なのは、スマートフォンが便利になればなるほど、使う機能も増えてしまうことです。
昔なら紙の地図を持っていた。
時計も別にあった。
カメラも別だった。
天気を確認するのも、山へ行く前に調べることが中心だった。
今は、それらが一台に集まっています。
便利です。
本当に便利です。
でも、一台に集まっているということは、
その一台の電源が切れたら、いろいろなものが一度に使えなくなる
ということでもあります。
ここは少し怖いところです。
モバイルバッテリーを持っていく
そこで活躍するのがモバイルバッテリーです。
私は登山に行くとき、モバイルバッテリーを持っていくことをおすすめしたいです。
「そんなにスマホを使わないから大丈夫」
と思うかもしれません。
でも、山では予定より使うことがあります。
写真を撮る。
地図を見る。
天気を見る。
連絡する。
そして、帰りの交通情報を見る。
一つ一つは大したことがなくても、積み重なるとバッテリーを消費します。
モバイルバッテリーが一つあれば、
「残り10%しかない!」
という不安から解放されます。
この安心感はかなり大きいと思います。
容量だけで選ばない
モバイルバッテリーを選ぶなら、容量だけを見ればいいわけではありません。
登山では荷物になります。
大容量なら安心ですが、その分重くなることもあります。
だから、
「自分のスマートフォンなら、どれくらい必要なのか」
を考えて選びたい。
日帰りなのか。
長時間の山行なのか。
山小屋泊なのか。
何日も山に入るのか。
スマートフォンをどれくらい使うのか。
写真をたくさん撮るのか。
GPSをずっと動かすのか。
こういった条件によって必要な容量は変わります。
私は、何でもかんでも大容量を持っていけばいいとは思いません。
でも、
「足りなくなるより、少し余裕がある」
くらいが安心です。
山では充電切れになってからでは遅いですから。
寒い季節は特に気を付けたい
スマートフォンのバッテリーについて考えるとき、もう一つ気になるのが気温です。
寒い場所では、バッテリーの性能が普段とは違って感じられることがあります。
冬山などでは特に注意が必要です。
スマートフォンをザックの外側のポケットに入れて、
「まだ50%あるから大丈夫」
と思っていたら、寒さの影響で急に残量が減ったように感じる。
これは怖いです。
山の上は平地より気温が低くなることがあります。
だから、スマートフォンやモバイルバッテリーを冷やしすぎないようにする。
必要に応じて身体に近い場所など、温度変化を受けにくい場所で管理する。
これは冬の登山では特に意識しておきたいところです。
スマートフォンは電子機器です。
山では「いつものスマホ」と少し違う環境で使うことになります。
写真を撮る人ほど気を付けたい
私は、登山とスマートフォンの充電を考えるとき、
写真を撮る人ほど注意した方がいい
と思っています。
山は写真を撮りたくなる場所が多すぎます。
朝の空。
登山道。
木々の間から見える山。
花。
岩。
雲。
稜線。
山頂。
そして下山途中の景色。
「もう撮らなくてもいいかな」
と思っても、また良い景色が出てくる。
撮ります。
当然です。
だって山ですから。
そして気が付く。
「バッテリー、かなり減ってる……」
これを何度経験したことでしょう。
写真を撮ること自体は悪いことではありません。
むしろ、山で感じたことを残しておくのは楽しい。
だからこそ、撮ることを楽しむために充電を準備しておく。
この考え方がいいと思います。
「節電しなければ」と思いすぎない
ただ、充電が心配だからといって、ずっと節電のことばかり考えるのも違う気がします。
山に来たのですから、山を楽しみたい。
写真を撮りたいなら撮ればいい。
景色を見たいならスマートフォンをしまえばいい。
地図を確認したいなら使えばいい。
大切なのは、
使わないことではなく、使えるように準備しておくこと
ではないでしょうか。
モバイルバッテリーを持っている。
充電ケーブルもある。
出発前にスマートフォンを満充電にしておく。
必要な地図などは事前に準備しておく。
そうしておけば、必要なときに安心して使えます。
「残量が気になるから写真を撮らない」
よりも、
「撮りたいから撮る。そのために充電を準備しておく」
の方が、私は登山らしいと思います。
ケーブルを忘れると悲しい
そして、意外とやってしまうのが、
モバイルバッテリーは持ってきたのに、ケーブルを忘れる
という事故です。
これは悲しい。
モバイルバッテリーをザックに入れて、
「これで安心」
と思う。
ところが、いざ充電しようとして、
「あれ?」
となる。
ケーブルがない。
あるいはスマートフォンに合わない。
こうなると、モバイルバッテリーがただの重たい箱になってしまいます。
出発前に、
- スマートフォン
- モバイルバッテリー
- 充電ケーブル
- 必要なら変換アダプター
をセットで確認する。
これだけでもかなり違います。
山小屋で充電できるとは限らない
山小屋泊をする場合、
「山小屋なら充電できるだろう」
と思ってしまうことがあります。
でも、設備や利用方法は山小屋によって異なります。
コンセントが自由に使えるとは限りません。
充電できる場所があっても、混雑しているかもしれない。
そもそも充電サービスを期待できない場合もあります。
だから、
「現地で充電できるだろう」と最初から考えない
方が安心です。
基本は自分で必要な電力を確保しておく。
その上で、利用できる設備があれば助かる。
このくらいに考えておきたいです。
スマートフォンを「命綱」にしすぎない
ここは少し重要なところです。
スマートフォンは非常に便利です。
地図も見られる。
位置情報も確認できる。
連絡もできる。
天気も見られる。
だからといって、
スマートフォンさえあれば大丈夫
とは考えない方がいいと思います。
登山では、スマートフォン以外にも必要な装備があります。
紙の地図など、電源を必要としないものをバックアップとして持っておく。
現在地やルートをスマートフォンだけに頼りすぎない。
そして、何より無理をしない。
スマートフォンは便利な道具です。
でも、山そのものを安全にしてくれる魔法の道具ではありません。
これは忘れないようにしたいところです。
充電について考えると、山の楽しみ方も変わる
スマートフォンの充電について考えていると、少し面白いことにも気付きます。
山では、スマートフォンを使う時間と、使わない時間の両方があります。
地図を見る。
スマートフォンをしまう。
写真を撮る。
またしまう。
景色を見る。
また写真を撮る。
そして、山頂ではスマートフォンをしまって、しばらく山を見る。
私はこの時間が好きです。
便利だからこそ、あえて使わない時間が楽しくなる。
スマートフォンで撮った写真も大切です。
でも、写真を撮ったあとに、
「これはちゃんと自分の目で見ておこう」
と思うことがあります。
山の景色は画面の中にあるものではありません。
目の前にあります。
だから、スマートフォンには山の景色を記録してもらう。
自分はその景色を見る。
役割分担です。
登山前に一度、充電のことを考える
結局、スマートフォンの充電で大切なのは、山に入ってから慌てないことだと思います。
出発前にスマートフォンを充電する。
必要な地図を準備する。
モバイルバッテリーを充電する。
ケーブルを確認する。
寒い時期なら、バッテリーを冷やしすぎない方法を考える。
そして、山でどれくらいスマートフォンを使うのかを想像しておく。
たったこれだけです。
特別なことではありません。
でも、こういう小さな準備が山では安心につながります。
そして、準備ができていれば、
「バッテリーが減ったらどうしよう」
と心配しながら歩かなくて済みます。
山に持っていくスマートフォンだからこそ
スマートフォンは、今では登山のかなり身近な道具になりました。
写真を撮る。
地図を見る。
天気を確認する。
連絡する。
山の名前を調べる。
帰りの交通手段を確認する。
本当にいろいろなことができます。
だからこそ、その電源についても考えておきたい。
登山では、電気がいつでも手に入るわけではありません。
街では当たり前だったことが、山では当たり前ではない。
だから、
「充電がなくなってから考える」のではなく、「なくならないように準備しておく」。
これだけで、かなり安心できます。
そして、個人的にはもう一つ。
せっかく山へ来たのなら、バッテリー残量ばかり気にするのはもったいない。
モバイルバッテリーを持っていって、
「これで大丈夫」
と思ったら、あとは山を楽しむ。
写真を撮りたいときは撮る。
地図を見たいときは見る。
そして、何もする必要がないときはスマートフォンをしまう。
目の前にある山を見る。
風を感じる。
空を見る。
遠くの稜線を見る。
そのために、充電を準備しておく。
なんだか本末転倒のようにも見えますが、私はこれでいいと思っています。
スマートフォンを安心して使える準備をして、スマートフォンを使わない時間を楽しむ。
これが、登山とスマートフォンのちょうどいい距離なのかもしれません。
さて。
次の山へ行くときは、まずスマートフォンを充電しておきましょう。
そしてモバイルバッテリーも。
ケーブルも。
……忘れないように。
私なら、前日の夜にもう一度確認します。
満充電。
バッテリーOK。
ケーブルOK。
地図OK。
ここまで確認したら、あとは寝るだけです。
そして朝になったら、山へ向かう。
スマートフォンの充電は、山へ行くための準備のひとつ。
そう考えると、なんだか充電する時間まで登山の一部に思えてきます。