1. 登山サイトを集めてみました
  2. 登山にストックは必要?歩き続けるために知っておきたいストックの大切さ

登山にストックは必要?歩き続けるために知っておきたいストックの大切さ

登山をしていると、ストックを使っている人をよく見かけます。

両手に持って歩く人もいれば、ザックに取り付けて必要なときだけ使う人もいます。一方で、登山を始めたばかりの頃は「ストックなんてなくても歩ける」と考える人も多いのではないでしょうか。

実際、ストックがなくても山には登れます。

しかし、ある程度の距離を歩くようになると、ストックがあることで歩きやすさが大きく変わる場面があります。

特にその違いを感じやすいのが、長い下り坂です。

登りでは元気だった脚が、下山する頃には重くなっている。膝に疲れを感じながら、一歩ずつ慎重に下っていく。

そんなときにストックがあると、脚だけに頼らず、上半身も使いながら歩くことができます。

ストックは「体力がない人が使うもの」ではありません。

長く山を歩き続けるための道具のひとつとして考えてみると、その役割が分かりやすくなります。

ストックは「もう一本の足」になる

登山では、平地を歩くときとは違って、足元が常に安定しているとは限りません。

石が転がっている。

木の根が出ている。

土が滑りやすい。

斜面が傾いている。

雨のあとでぬかるんでいる。

こうした場所では、左右の足だけでバランスを取らなければなりません。

ストックを使えば、そこに手を使った支えが加わります。

特に2本のストックを使う場合は、足だけでなく左右の手も使って体を支えられるため、歩行中のバランスを取りやすくなります。トレッキングポールのメリットとして、登山用品メーカーや登山ガイドも、負担の軽減だけでなくバランス保持を挙げています。

もちろん、ストックを地面に突けば絶対に転ばないというものではありません。

それでも、足を置く場所に迷ったときや、少し体がふらついたときに支えがあることは安心感につながります。

一番活躍するのは「下り」

登山でストックの大切さを感じやすいのは、やはり下山ではないでしょうか。

山頂まで登っているときは、これから待っている下りのことをあまり考えません。

「あと少しで山頂」

と頑張って登り、山頂で景色を楽しむ。

ところが、そこから先には長い下山が待っています。

登りで疲れた脚を使いながら、今度は体重を支えながら下っていかなければなりません。

下りでは、足を一歩前へ出すたびに体が下へ移動します。そのときのブレーキ役を膝や脚だけに任せていると、長い下山では負担を感じやすくなります。

そこでストックを使います。

ストックを前方に突き、体重の一部をストックにも預けながら足を下ろす。

こうすることで、脚だけで体を支えるのではなく、上半身にも負担を分散できます。

YAMAPもトレッキングポールについて、膝や関節への負担軽減やバランス保持に役立つ道具として紹介しており、登山ガイド監修の使い方でも下りでの活用が説明されています。

ストックを使ったことがない人なら、一度長い下りで試してみると、その違いを感じるかもしれません。

「膝が痛くなってから」ではなく、その前に使う

ストックというと、

「膝が弱い人が使うもの」

というイメージを持っている人もいるでしょう。

確かに、膝に不安がある人にとっては心強い道具です。

しかし、ストックの役割はそれだけではありません。

まだ膝に痛みがない人でも、長い下りを歩けば脚には疲労が蓄積します。

そこで大切なのは、

痛くなってからストックを使うのではなく、疲れる前から上手に使うこと。

です。

登山では「頑張って歩く」ことよりも、「余裕を残して歩く」ことが大切な場面があります。

ストックを使って脚への負担を分散できれば、下山後まで体力を残しやすくなります。

八ヶ岳の登山ガイドも、ストックは膝に不安のある人や体力に自信のない人だけでなく、そうでない人にも、特に下山時の負担軽減に役立つと説明しています。

登りでもストックは役に立つ

「ストックは下りで使うもの」と思われがちですが、登りでも活躍します。

急な登りでは、脚だけで体を持ち上げようとすると疲れてしまいます。

そこでストックを使い、腕も動かしながら歩きます。

足を一歩進める。

反対側のストックを突く。

腕を使って体を少し前へ送る。

この動きを繰り返すことで、脚だけに負担が集中するのを避けられます。

ただし、ストックを遠くに突いて、腕の力だけで体を引っ張り上げるような使い方は適切ではありません。

登山用品メーカーのシナノも、登りでは基準の長さより短めに調整し、ポールで推進力を得るように使うことを案内しています。

ストックは「杖」というより、歩くリズムを作る道具と考えると使いやすくなります。

平地では自然に使う

登山道の中には、比較的平坦な場所もあります。

こうしたところでは、ストックを大きく前に突く必要はありません。

足と反対側のストックを前へ出し、自然な腕の振りに近い感覚で使います。

右足を出したら左手のストック。

左足を出したら右手のストック。

このリズムに慣れてくると、ストックを特別な道具として意識しなくなります。

シナノも、平地や緩やかな斜面では歩幅をやや狭くし、足と反対側のポールを足と並行から少し前へ突く歩き方を紹介しています。

大切なのは、ストックに体を預けすぎないことです。

足で歩きながら、ストックでバランスを補う。

このくらいの感覚から始めるとよいでしょう。

ストックは「使わない判断」も大切

便利なストックですが、どこでも使えばいいというわけではありません。

岩場や鎖場、はしごなどでは、ストックをしまう必要があります。

こうした場所では、両手を自由にして岩や鎖をつかんだほうが安全です。

ストックを手に持ったまま岩場へ入ると、いざというときに両手を使えません。

また、急な下りでストックを体から大きく離れたところへ突くのも危険です。ポールを遠くに突きすぎると、体勢を崩す原因になります。

ストックは万能な安全装備ではありません。

使う場所と、しまう場所を判断できてこそ役に立つ道具です。YAMATOMOやシナノの解説でも、岩場や鎖場などではストックをしまうこと、地形に応じて長さや使い方を変えることが案内されています。

長さを変えるだけでも歩きやすくなる

ストックを使っているのに「なんだか歩きにくい」と感じる場合は、長さが合っていないのかもしれません。

基本となる長さは、平地で自然に立ったときに肘が直角になる程度。

そこから、

登りは少し短くする。

下りは少し長くする。

というのが一般的です。シナノではI型グリップの場合、肘が直角になる高さから0~2cm程度短くした位置を基準とし、登りでは0~5cm程度短く、下りでは5cm程度長くする方法を紹介しています。

ただし、これは絶対的な数字ではありません。

身長や腕の長さ、斜面の角度によっても変わります。

「登りだから何センチ」と決めるよりも、実際に歩いてみて、腕が無理なく動く長さに調整することが大切です。

ストックは体力を補うためだけの道具ではない

ストックについて話すと、

「ストックを使ったら脚力が落ちるのでは?」

という意見もあります。

確かに、ストックに体重を預けすぎれば、本来足で行う動きを減らすことになります。

しかし、ストックを使う目的は、脚を使わなくすることではありません。

脚だけに集中している負担を、腕や上半身にも分散すること。

そして、バランスを取りながら歩きやすくすることです。

登山は競技ではありません。

誰よりも速く山頂へ到着することが目的でなければ、すべての負荷を脚だけで受け止める必要もありません。

長い距離を歩き、最後まで安全に下山する。

そのために使える道具は、上手に使えばいいのだと思います。

ストックがあると「余裕」が生まれる

登山で大切なのは、山頂に立った瞬間だけではありません。

そこから無事に下山して、家に帰るまでが登山です。

朝は元気だった。

登りも問題なかった。

山頂にも立てた。

でも下山途中で脚が疲れてしまった。

そうなると、歩くことそのものが苦痛になってしまいます。

ストックを使えば、必ず疲れなくなるわけではありません。

それでも、脚への負担を分散し、バランスを取りやすくすることで、最後まで歩くための余裕を作ることはできます。トレッキングポールのメリットとして、負担軽減、バランス保持、推進力の補助が挙げられているのは、このためです。

山では、この「少しの余裕」が意外と大切です。

これからも山を歩くために

登山を始めたばかりなら、ストックを使わずに歩いてみるのもいいでしょう。

自分の歩き方を知ることができます。

そのうえで、長い下りのある山や、歩く距離の長い山へ行くときには、ストックを試してみてください。

最初は使い方が分からなくても、何度か山で使っているうちに、自分に合った長さや突き方が分かってきます。

そして一度その便利さを知ると、

「今日はストックを持っていこう」

と思う山が増えてくるかもしれません。

ストックは、登山に絶対必要な道具ではありません。

なくても山には登れます。

けれど、

疲れた脚を少し助けること。

不安定な場所でバランスを取ること。

長い下りで体を支えること。

そして何より、

これからも山を歩き続けるために、体への負担を上手に分散すること。

そう考えると、ストックは単なる「杖」ではなく、登山を長く楽しむための道具のひとつなのではないでしょうか。

山頂まで登ることだけが登山ではありません。

最後まで自分の足で歩いて帰ってくること。

そのために、使える道具は上手に使う。

ストックは、そんな登山の考え方を教えてくれる道具でもあると思います。