山そのものへの掘り下げと、書き手自身のキャラクターがかなり強く表れているサイトです。
サイト自身が「おっさんがひたすら山に登りまくるブログ」と名乗っているとおり、基本的には山へ登り、その山のことを書き、その記録をひたすら積み重ねていくブログです。
ただし、単なる登山記録ではありません。
山の成り立ちや地理、歴史、登山道の特徴などをかなり丁寧に調べたうえで、自分自身が実際に歩いた経験を重ねています。
そのため、「山を知る楽しさ」と「実際に歩く楽しさ」の両方を感じられるブログになっています。
「おっさんがひたすら山に登りまくる」
まず、このサイトの面白さは、かなり開き直ったようなタイトルです。
「週末は山を目指す」。
そしてサイトのキャッチコピーが、
「おっさんがひたすら山に登りまくるブログ」
です。
格好良く見せようとしていない。
登山家として自分を大きく見せようともしない。
ただ山に登る。
その姿勢がサイト全体にあります。
プロフィールにも「アラフォー」、首都圏近郊の山を中心に、主に公共交通機関を利用して山登りをしていると書かれています。
この「普通のおっさんが山へ行く」という立ち位置が、文章の親しみやすさにもつながっています。
山の説明がかなり細かい
記事の冒頭を見ると、その山がどこにあり、どんな山なのかという説明から始まります。
例えば面白山では、奥羽山脈に属する古い火山であること、仙山線が山の下を通っていること、面白山高原駅から直接登れることなどを説明しています。
青海黒姫山では、飛騨山脈の北端に位置すること、石灰岩によってできていること、鉱山として開発されていること、修験の山であることまで説明しています。
単純に、
「○○山へ登ってきました。景色がきれいでした」
では終わりません。
「なぜこの山はこういう姿をしているのか」
というところまで踏み込んでいます。
そのため、登る前には知らなかった山の背景を知ることができます。
「マイナーな山」への目線がおもしろい
このサイトでは、いわゆる有名観光地だけを歩いているわけではありません。
むしろ、
「知る人ぞ知る」
「ほとんど歩く人はいない」
「静かな山」
といった山がかなり多く登場します。
例えば青海黒姫山は「全国区の知名度はなく知る人ぞ知るマイナーな一座」と紹介されています。
和名倉山についても、奥秩父の主要な登山ルートから外れているため、訪れる人が極めて少ない静かな山として紹介されています。
こうした山を選んで歩くことで、
「有名な山へ行く」だけではない登山の楽しみ方
が見えてきます。
タイトルがかなり上手い
このサイトの記事タイトルには特徴があります。
例えば、
- 「笠ヶ岳 怒涛の急登が連続する地獄の笠新道を行く」
- 「八丁山-鷹ノ巣山 静かなる巳ノ戸尾根と奥多摩の秘峰」
- 「青海黒姫山 日本海を見下ろす飛騨山脈北端の山」
- 「和名倉山 巨大な裾野を広げ静かに佇む奥秩父の秘峰」
といった具合です。
単純な山名だけではありません。
その山の「一番おもしろいところ」を一言で付け加えている。
これによって、記事を読む前から、
「どんな山なのだろう?」
という興味を持たせています。
「怒涛の急登」「地獄の笠新道」
こうした少し大げさな表現も、このブログの個性です。
笠ヶ岳の記事では、笠新道を「怒涛の急登が連続する地獄の笠新道」と表現しています。
ただ、単に煽っているわけではありません。
実際にテント泊装備を担いで歩いている。
つまり、自分自身が体験した辛さを、自分の言葉で少し面白く表現しているわけです。
このあたりが企業メディアとは大きく違います。
山行記なのに、ちゃんと「旅」になっている
記事の最後には、
「○○年○月○日に旅す。」
という独特の締め方があります。
「登った」ではなく「旅す」。
この言葉が、実はサイト全体の性格をよく表しています。
登山だけを目的として山へ行っているというより、
山へ行くこと自体が旅になっている。
遠くの山へ行く。
知らない地域へ行く。
その土地の山の歴史を知る。
登山道を歩く。
そして帰ってくる。
そういう一連の行動を「旅」として記録しています。
公共交通機関で山へ向かう
プロフィールにあるように、公共交通機関を利用した登山も大きな特徴です。
面白山では、JR仙山線の面白山高原駅から直接登れることを紹介しています。
これはサイト全体のスタイルとも相性がいい。
車で登山口まで直行するのではなく、
電車に乗る。
駅に着く。
そこから歩き始める。
という過程そのものが山旅になります。
とにかく山へ行く
記事一覧を見ると、その活動量にも驚かされます。
2025年だけでも宝篋山-筑波山、興因寺山-八王子山-湯村山、大滝根山、滝子山-大鹿山、笠ヶ岳、朳差岳、燧ヶ岳、小野子山-中ノ岳-十二ヶ岳、美ヶ原、入笠山など、非常に多くの山行が並んでいます。
しかも、単純に有名な山を順番に登っているわけではありません。
かなりマイナーな山や、複数の山をつないだ縦走、バリエーション性のあるルートなども含まれています。
「次はどの山へ行こうか」ではなく、「まだ歩いていない山がこんなにある」
という感じすらあります。
「取りこぼし回収回」という言葉
記事タイトルの中には、
「取りこぼし回収回」
という表現も登場します。
この言葉も面白いところです。
普通なら、
「飯豊連峰登山」
などとするところを、本人にとっては「まだ歩いていなかった場所を回収する」という意味になる。
つまり、登山をかなり長期的なゲームのように楽しんでいる部分があります。
それでいて、読者に対して「全部登るべき」と押しつける感じはありません。
自分自身が勝手に山を追いかけている。
その様子を見ているのが面白いのです。
文章にユーモアがある
このサイトの文章は、情報量が多い一方で、かなりユーモアがあります。
それがよく分かるのが「メイキング オブ 週末は山を目指す」です。
「台風で紅葉シーズンの三連休が潰れたから、山へ行けない憂さ晴らしにこの企画を書いている」と始まり、さらに「特段の深い意味はありません」「何ひとつ、あなたの人生における問題解決の助けにはならない」と自分で書いています。
こういう文章があることで、膨大な山の情報を扱っていても、堅苦しくなりません。
詳しいけれど、偉そうではない。
このバランスが非常に良いと思います。
自分自身をネタにできる
「無職になりました」という記事も、その典型です。
2024年3月末で会社を辞め、1年ほど山へ行きまくる予定だと書いています。
普通ならかなり重大な人生の話ですが、
「週末登山家は毎日登山家へと進化(?)する。」
と始めています。
そして、
「人生の休日です。」
と表現する。
さらに、南アルプス、雲ノ平、表銀座、裏銀座、トムラウシ、飯豊連峰、朝日連峰、和賀山塊、白神山地、大峯奥駈道……と、行きたい山を大量に並べています。
この文章からは、山が好きで仕方がないことが伝わります。
それを格好良く見せようとせず、「おっさんが山に登りまくる」というサイトのキャラクターそのものにしてしまっている。
ここが強いです。
写真と文章の役割がはっきりしている
本人による「メイキング」では、このブログを、
「写真と文章でもって自身の山行きの模様をリポートしているwebサイト」
と説明しています。
まさにその通りです。
写真だけで見せるサイトではありません。
文章だけで山を説明するサイトでもありません。
写真で実際の景色を見せ、
文章でそのとき何を感じ、何を考え、どう歩いたのかを補う。
その二つがセットになっています。
情報サイトとしても使えるが、根本は個人ブログ
ここは非常に重要なところだと思います。
記事には山の位置や特徴、ルート、歴史などの情報がかなり含まれています。
しかし、それを目的に最適化された「登山情報サイト」ではありません。
あくまで、
「自分がこの山へ行った。その経験を記録する」
ことが出発点です。
だからこそ、マイナーな山にも価値が生まれます。
一般的な登山情報サイトならアクセス数を考えて有名な山を扱うでしょう。
しかし、このブログでは、
「まだ歩いていないから行く」
「面白そうだから行く」
という個人の興味が出発点になっています。
結果として、他では詳しく紹介されていない山の情報が蓄積されています。
「山を知ってから登る」楽しさ
このブログの大きな魅力は、山へ行く前と行った後で、その山への見え方が変わることです。
山の地形を知る。
名前の由来を知る。
歴史を知る。
登山道の特徴を知る。
そのうえで実際に歩く。
そうすると、単に「景色が良かった」で終わらなくなります。
「この山にはこういう背景があったのか」
という発見があります。
そして実際の山行記を読むことで、その知識が現地の景色と結びついていきます。
長く続けることで「山の記録」になっている
サイトは2015年から続いており、記事一覧を見ると2020年の移転前の記事も含めて大量の記録が残されています。
これだけの山を歩き続けると、個々の記事の価値だけではなく、サイト全体が一人の登山者の山行史になってきます。
初心者だった頃。
少しずつ遠くへ行くようになった頃。
難しいルートへ挑戦するようになった頃。
そして仕事を辞めて、毎日山へ行けるようになった頃。
そうした変化まで含めて読むことができます。
「登山を教える」のではなく「登山を見せる」
このサイトの一番良いところは、読者に対して、
「こう登りなさい」
「この山がおすすめです」
と強く教えている感じがないことです。
むしろ、
「私はこういう山へ行ってきました」
と見せてくれる。
そこから読者が、
「この山、面白そうだな」
「自分も歩いてみたい」
と思う。
これは登山ブログとして非常に自然な形です。
そして、そこに詳しい山の説明が加わることで、単なる日記以上の価値になっています。
「週末は山を目指す」の魅力
このサイトを一言でまとめるなら、
「山が好きなおっさんが、自分の興味の赴くままに山を歩き、その経験を徹底的に記録しているブログ」
だと思います。
美しい写真を見せることだけを目的としているわけでもない。
初心者を教えることだけを目的としているわけでもない。
有名な山を紹介することだけでもない。
ただ、自分が面白いと思った山へ行き、その山について調べ、実際に歩き、写真を撮り、そして文章にする。
その結果として、読者にとっても面白く、役に立つ記事になっています。
そして何より、
「この人、本当に山が好きなんだな」
ということが伝わってきます。
そこが、このサイトの最大の強さだと思います。
「週末は山を目指す」新着記事
- 2026年9月26日 箱根旧街道 三島宿から箱根峠まで箱根八里の西坂を行く
- 2026年9月7日 富岡アルプス 日本一きれいなハイキングコースと世界遺産を巡る
- 2026年8月28日 湖西アルプス 浜名湖の西側に連なる弓張山地を縦走する
- 2026年8月10日 宝篋山-筑波山 関東平野を見張らす筑波山地縦走登山
- 2026年7月21日 興因寺山-八王子山-湯村山 甲府盆地の北に連なる甲府名山を巡る
- 2026年6月29日 大滝根山 カルスト台地上に立つ阿武隈山地最高峰と入水鍾乳洞を巡る
- 2026年6月22日 滝子山-大鹿山 急峻な岩尾根を直登する寂しょう尾根ルートを行く
- 2026年6月6日 日光男体山 裏口の志津乗越側から登る静かなる登山道を行く
- 2026年5月25日 中ノ岳-丹後山 利根川源流域の奥地に静かにたたずむ越後三山の最高峰
- 2026年5月11日 八丁山-鷹ノ巣山 静かなる巳ノ戸尾根と奥多摩の秘峰
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